認めてしまえばいい(モブヴ)

「あっ…うっ…」
「顔、背けんな。見せろ」

クライヴはゴツゴツとした指に頬を掴まれ、無理やり男の方へ顔を向けられる。
身には何もつけていない…否、両手首は固く布で縛られていた。
男が強く掴むため、太ももにはその指の跡が赤く付いている。
下腹部は貫かれ、大きな違和感が腹を蝕む。
クライヴはベアラー兵となり、慰めものとして兵士に日々抱かれていた。

*****

ことの始まりはベアラーの証を入れる前…
これからはもうクライヴ・ロズフィールドでなくなる、彼はそのことに心を蝕まれていた。
死ぬことよりも辛い兵士として生きることを選ばれた。
だが何よりもアナベラが実質ジョシュアが死んだことに加担していたことが耐え難い。

そのとこから生きたここちはせず、ただ虚に時は経っていた。
ある日、とある男はクライヴの顔を見てニヤニヤと笑い「綺麗な顔してるじゃねえか」と顎を掴み顔を己の顔に近づけた。
クライヴは同性とはいえこれまでそんな経験はなく、舐め回すような目をした男の息が顔にかかることに生理的な嫌気がさす。
気持ち悪い、放せ。
そう言いたかったがベアラー兵になる身では逆らえない。
そんなクライヴの顔を見て男はより息を荒くした。

「ほう…おい!聞け!」

周りにいた兵士たちはその男の声で一斉にこちらに振り向く。
男はクライヴの顔から腰まで撫でるように手を動かした。気持ち悪い。

「こいつ、生意気な目をしてるが…綺麗な顔だ。これならお前らもいけるだろ」

いけるとは?男の言う意味がわからない。
ただ嫌な予感はする。
クライヴの元へ数人の男が寄ってきて、テーブルへクライヴを仰向けに倒す。
そしてその男たちもクライヴの顔をまじまじと見てニヤッと笑った。
衣服へ手が伸びる。そして破かれた。

「え…」

他の男の手はズボンに手が伸びる。
下着の中へ手を入れられた。
なんなんだ、本当に。
クライヴはただ分からないことへの恐怖で胸がドクドクなる。
殺されるわけではない、恐らく。
ただ、これは…

「ついてるし、胸もねえ。だがうまそうだ」
「ああ…元王子様ってのもな…初もんだろうし」

うまそう…?初もの…?

「あっ…!」
「はっ…!いい反応!」

混乱している中、下着の中のクライヴを強く握られた。
そう言う嫌がらせなのか。
だがそこは誰にも触られたことはない。
最愛の弟にですら。

「ここはどうだ?」
「ひっ…!」

急に下着ごとズボンを脱がされた。
冷たい空気が男性に触れる。
下着とズボンは投げ捨てられ、なにもつけていないクライヴの尻に男の手が触れた。
そして自分でも触れたことの無い…

「な…に…ゔっ…やめ…」
「狭いが感度は良さそうだ。この顔にこの体…最高だろ。食いてえ」
「まてよ、処女だろ?勝手に食うなって。こんな機会2度とねえし」
「ああ、そうだな…勝負して買ったやつがこいつの初めて食ってやれ!穴はきついだろうけど2度と食うことがないだろう顔のいい元王子さまの処女だぞ」

ああ、そう言うことか…
聞いたことはある、女がいない環境では男が男を抱く…と。
だが自分には無縁だと思っていた。そんな性欲に塗れたことはしないと…
ただ愛したものと、するのだと。
そんな性欲に塗れた男に自分は…

ただ震え、歯をギチギチとクライヴは鳴らした。
知らない怖さだ、命を落とす怖さとは違う。
恐怖から無意識に体は男たちの手から逃れようと後ろへ退こうとする。
だが男たちの手はそれを許さず、頭の方で腕を捉えられ逃げられない。

「怯えてんな」
「そりゃそうだ、入れられたことないからなここにちんこを」
「怖がんなよ、気持ちいいぞー昇天するぐらいに!俺は入れられたことねえけど!」

クライヴの様子に男たちは笑う。
捕食者たちは。食われる運命の少年に。

「俺がこいつの慣らしとくからほら、さっさとしろ」

クライヴの顔をまじまじと見てこの判断をした男は、クライヴを太ももを撫でながら笑う。

「俺は処女食わないんだ、お前がみーんなに食われてもっと美味しくなったら食うよ。そしてお前はもう今の名前を捨てるんだ。その名前の最後の日の思い出作りだ」

*****

「なにぼけっとしてる」
「うあっ…!あっ…」

そうだこの男が…この男が俺を…こんなことにした…
あの時『クライヴとしての最後の思い出として数人の男に抱かせた』男は目の前でクライヴを抱いている。
睨みつけても意味はない。余計に昂らせてしまう。
クライヴは反抗的な態度をすればするほど男たちは昂り、手酷く抱く。
加虐心がここの兵士たちは強いのだ。その上官も。

ただ何度手酷く抱かれて心が死んでも、体はすんなりと男の物を受け入れる。
そして男たちはクライヴの中へ精を吐き出す。
大嫌いな口の奉仕でも口の中に精を吐き出され、飲めと命じられることもザラではない。
そしてこの行為にただ苦痛を感じるだけでは無くなってしまった。

「本当熟成したなぁ…キツすぎず緩すぎでもない…口もこの中も本当にウマイ」
「ああ…はあっ…」
「その甘い声も最高だ…ただ痛がってた時もそれはそれで興奮したが…善がって男を求めるその姿、本当に唆る。娼婦に…いや俺ら専用の娼婦か、ははっ」

己が娼婦と呼ばれている。
クライヴの頭の中でその言葉が繰り返される。
そんなわけない。俺は…ジョシュアのナイトだ。
けど守れなかった…そんな俺は…

「だれ…がっ…おれ、は…ちがうっ…!」
「嬉しそうに男をここに咥えて何言ってんだ。お前はもう女を抱けないよ。ここが気持ちよくて仕方なくてさ。いい娘さんやらと結ばれる未来もあっただろうに。けどお前は抱かれることに天性的に向いてるよ。じゃなきゃこんなに…なあ」
「うっあっ!…!やめ…」

羞恥心の中男はクライヴの強くそそり立った男根に強く触れた。
我慢汁が溢れていたそこから、多少の精が思わず出た。
ああ、いっていいと言われるまでだしてはいけないのに。

「尻の穴だけでこんなになってるのに言われてもなあ、説得力ないな。今日は許してやるからたくさん出せよ?」
「ひっ!あっ…!あーっ!」

クライヴの男根の根を強く掴んだ男は激しくクライヴの中を揺さぶり貫く。
もうこの行為は痛みではない。
これは…快楽だ。認めたくなんか無かった。
初めて抱かれた時、確かに痛いだけだった。
けれど男根は確かに反応していた。
けれどその痛みもだんだん心地良くなって、強く擦って…突いて中に出して欲しい。
酷くてもいい、満たされるなら。そう感じていた。

ジョシュアがこんな姿を知ったらどう思うだろう。
軽蔑するだろう。こんな兄は。こんなナイトを。
けれどもう自分は…『クライヴ・ロズフィールド』ではない。
ワイバーン…それが今の名前だ。
頬のこの証も…

「…さま」
「ん?」

クライヴは小さく己を抱く男の耳元に口を寄せ弱々と男の名を呼ぶ。
腰の動きは止まらない、はーはーと喘ぎながら揺れる体を必死に起こした。

「なかに、だしてください。あなたのそのあつい精を…おれの中にたくさん」

男の腰の動きが止まった。
クライヴの顔は蕩け、うっとりと淫靡な顔になっていた。
ただ男のものを欲しがり、甘い、誘う声で囁いた。
「はっ!やっと正直になったか!ほらよ」
「あっ!はっ…!いいっ…もっ…とっ…ほしいっ!」
「っー!最高に淫らだなあ!そうだ、それだよワイバーン!」

クライヴは再び激しく突いてくる男腰を、両足で弱々と掴む。
そしてみずからも腰を揺らす。男にもっともっとと強請るように。
そう、受け入れてしまえばいい。
自尊心が認めたく無かっただけだ。本当の自分を。
本当は男の男根が好きな淫らな自分を…
この快楽に溺れてしまえばなにも苦しくはない。

「はっあっ…!」
「でるっ…!ワイバーン!」
「ああっ…!!!」

強く根を握られ出したくても出せなかったクライヴの男根から男は手を離す。
そして男はクライヴの中で精を吐いた。
クライヴの腹の中はその精で満たされていく。
クライヴはその感覚で己も精を吐いた。

「はあっ…んんっ…」
「あー!そんな色気のある声で誘うな!明日から遠征なのにまだやりたく…」
「いいですよ…もっと俺を欲してください…」

チロっと唇を舐めクライヴはそう誘う。
腹を撫であなたはまだここにいる、ここにあなたの性がまだ欲しいと訴えながら。

「はあ…これはこれで大変だ。お前も遠征に連れていく。そこで兵たちに相手をしてもらえ」
「はい…」

クライヴのそんな姿に男はため息をついたが、どこか嬉しそうにしていた。
クライヴは「ああ、また俺はたくさんもらえる…この体にたくさんの男と精を」うっとりしながら眠りに誘われる。
こんなに心地よい気持ちで眠るのはいつぶりだろう。
心も体も満たされている。
あの城にいた頃はジョシュアがいてもどこか寂しく…

ジョシュアにも抱かれたかったな。
あの可愛い顔に立派なものが、俺の中で…
成長したらきっともっと大きく立派なものになり、この腹の中で…
夢の中でジョシュアに会えたらと思う。
あの日からジョシュアに恨まれる夢はよく見た、けれどジョシュアに愛される夢をたまには…

すやすやとクライヴは眠った。
尻から溢れる精と、まだ誘うように揺れる尻。
睡眠姦の趣味は無いが…男は寝ているクライヴに確かに勃起していた。

少年はベアラー兵としてだけでなく、娼婦として男たちに愛された。
ベアラーと言う存在に関わらず、その男を知った淫靡な少年は時に男を狂わせていく。
そんな中、とあるベアラー兵が彼を引き取り愛人にしたのはまた別の話。